人によって何を美しいと思うかは、千差万別様々ですが、
私がこれまで見てきた陶芸作品の中で、最も美しいと感じたのは、
鍋島焼窯元の光山窯の「桜樹文」です。
今回はこの作品を紹介します。
桜樹文とは
https://saga-museum.jp/ceramic/%E3%82%BB%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E4%B9%9D%E5%B7%9ENo.09.pdf
桜樹文は、鍋島焼の窯元でよく描かれている桜で、鍋島焼の代表作といえるデザインです。
特に7寸皿や5寸皿に描かれることが多く、
構図としては、染付により皿の縁を囲うように大きな幹を力強く描かれており、上絵付により枝先に葉と桜を色鮮やかに表現されています。
鍋島家伝来の図案の中に享保三年(1718)記として桜樹文の下図があり、
さらには、藩窯跡の発掘調査で、同じデザインの破片が出土しているそうです。
鍋島藩窯様式の伝統柄として、徳川家や諸大名への献上品として作られていたのでしょう。
まさに鍋島焼の由緒正しき伝統柄ですね。
光山窯の「桜樹文」
・一般的な桜樹文の書き方
https://nabeshimahanyo-hyakusen.jp/pottery/kozangama/
・光山窯さんの描き方
いかがでしょうか。
木の幹や枝の部分が、濃みによって濃淡をつけて描かれています。
「濃み」とは、濃み筆と呼ばれる大きな筆を使い、広い面先を塗るためたっぷりと絵具を含ませて描く技法のことです。
濃みによって、ここまで繊細な表現ができるのは、光山さんくらいではないでしょうか。
桜の花や葉も、一般的な上絵付と異なり、線が細く、一つ一つがこまやかに描かれています。
光山窯について
光山窯は、鍋島焼窯元が集まる佐賀県伊万里市の大川内山にあります。
光山さんは現在、伝統工芸士会会長、一級技能士会会長を務めながら活動されています。
光山さんは鍋島焼の技術を全て極めたいとの思いから、「ろくろ成形」「下絵付け」「上絵付け」の3部門それぞれに設けられた伝統工芸士と、1級技能士の国家試験、つまり6つの資格を取得しています。
これは、市川さんが初めてなのだそうです。
さらに令和元年11月には、厚生労働省から佐賀県の鍋島焼の職人としては唯一「卓越した技能者(現代の名工)」として、加飾部門(絵付け)で表彰されています。
https://nabeshimahanyo-hyakusen.jp/pottery/kozangama/
まとめ
いかがでしたでしょうか。
鍋島焼の伝統を受け継ぎながらも、日々たゆまぬ努力で作品を作りつづける光山さん。
脱帽です。。
こうして私たちが素敵な作品に触れることができるのも、
先人たちが受け継いできた技を伝承し、いまも作品を作り続ける方がいるからこそであります。
私の今の事業がもっと大きくなり、鍋島焼に貢献できた実績ができれば、
私も恥じることなく、直接お話をお聞きしたいと思っております。
Have a Nice Day!