今回紹介するのは、有田焼の弥左衛門窯のティーカップです。
珈琲碗皿 寒菊
弥左衛門のティーカップの中で、私の最もお気に入り。寒菊です。
寒菊とは、冬に咲く菊の総称で、花も葉も小ぶりのものが多く、
12月から1月にかけて花を咲かせます。
花色も豊富で、茎や葉が霜に耐える性質があります。
このティーカップにも、冬の冷たさの中に咲く寒菊のカラフルな色合いと、
華やかさが表現されています。
珈琲碗皿 菊割花紋
菊割皿というと、菊の花びらのように溝が広がっているようなデザインになり、
この碗皿もよく見てみると、ただの円形の碗皿ではなく、花弁のような形をしています。
菊は、君子を象徴とする花で、それが日本にも伝わり、器の題材になっているそうです。
有田焼や九谷焼でよく見るような、、、
産地によって、デザイン性の違いが分かると、より楽しめるような気がします。
珈琲碗皿 染錦オランダ人
こちらは打って変わって、オランダ人と彼らが乗る船を描いた珈琲碗皿になります。
他の有田焼でいうと、香蘭社の「和蘭陀人シリーズ」や、青花の「異人シリーズ」でも、
同じようなデザインを見かけます。
江戸幕府の鎖国開始から200年間、出島ではオランダ(オランダ東インド会社)と中国、朝鮮との貿易が続きました。
中国の政変の影響で景徳鎮の磁器を売買できなくなった貿易商たちは、日本を次の生産地として目を付けます。
東西陶磁貿易史の最近の研究では、VOCによる公式貿易の送り状および仕訳帳の調査を行い、1650年から1757年までに約123万個の有田焼(肥前磁器)が輸出されたことが明らかにされています。VOC関係者が日本を含むアジアの商館から帰国する際に持ち帰った品々も含めると、もっと多くの数の有田焼が輸出されたと推定されます。
http://arita-episode2.jp/ja/history/history_6.html
有田焼最大の躍進の時代を表しているように見えます。
珈琲碗皿 遊苑
「遊苑」とは、遊び楽しむための庭園のことです。
建物の中から見える花や草木が表現されているように見えます。
とくに花びらの形をした窓から、花壇に植えられた花がのぞいているデザインが、とてもかわいいです。
珈琲碗皿 平安雅桜
こちらは「平安雅桜」という珈琲碗皿になります。
「平安」時代の「雅桜」をイメージしているということでしょうか。
(分かる方教えてください笑)
調べてみると、「雅桜」という種類の桜は、
雅子様ご成婚を記念して埼玉植物園より「プリンセス雅(みやび)」の名で販売され、
現在では品種名の「雅」から「雅桜」の名で流通することも多いそうです。
ということは、平安時代には、まだない桜の品種のはず。。。
ますます名前の由来が分からなくなりましたので、次回有田を訪れた際に、
現地商社の方に聞いてみようと思います。
まとめ
いかがでしたか。
普段、本業&副業で忙しく、なかなか商品と向き合う時間が取れないですが、
こうして落ち着いて観察したり、調べたりしてみると、
新しい発見があり非常に面白いです。
職人さんの丁寧な手仕事による仕上がりもさることながら、
デザインに込められた意味や、名前の由来を理解できると、より一層楽しみが広がっていくような気がします。
Have a Nice Day!